2024/02/06 08:19


イラストレーションのこと。

それまでキャンバスに描いた大きな絵をメインにしていた私がイラストレーションを始めたのは、2006年でした。

きっかけは、ブックデザイナーのS君の写真展で、ゴールデン街のお店に行った時のこと。

カウンターで座っていた並びのお客さんの一人が私に
「絵で食べていけるといいね」
と言ったのです。

・・・絵で食べる?

と私はその事について初めて考える事になった最初の言葉でした。

その頃は、実家にいたのでアルバイト代は旅と、個展に使う資金を貯めるためでした。ヨーロッパ旅行を年に2、3回行けるような費用が必要なので、絵の具や、画材代など、足りない部分は、実家や、お客様が支援してくれていました。

スタートが絵を描いていくこと」だった私は
「絵で食べる」ことをそれまで考えたことはなかったのです。


ところで、絵で食べるって具体的に何をするのか?
と聞いてみると、
「まぁイラストだろうね」
という答え。

確かにアルバイトよりはイラストレーションの仕事の方がかっこいいかも知れない!

それまでも、CDジャケットや、雑誌のちょっとしたカットのイラストは描いていました。でも仕事にするということを考えたことありませんでした。


じゃあ、イラストレーションの仕事は誰にもらったらいいの?
と聞いてみると、

「好きな本とか雑誌の編集部に絵のファイルを送ったりさー」
となんだか曖昧な答え。

ふーん、結局あんまり知らないんだな。と思ったのですがまずはやってみることにしました。


翌日、
何にイラストレーションを描きたいか?と考えました。

思いついたのは、雑誌、新聞、本の挿絵ぐらいでしたので、本屋さんに実際の本を見に行きました。

夕方母と一緒にも見に行き、これという雑誌やら新聞を買ってきました。

母がいうには、
1,紙質が良いこと。
2,内容にお金を掛けていること。
この2点がポイントだと教えてくれました。

そしてその10社にまずは電話をして、後日プロフィールなどを盛り込んだA4のイラストファイルを作って、送りました。

すると「山と渓谷」「料理王国」の2社から是非イラストレーションを描いてほしい!という依頼がきました。

それで描きはじめたのがイラストレーションの仕事の始まりです。

編集者さんとの打ち合わせは、とても楽しみでした。
好きな事を仕事にしている方からその内容を聞くのは、こちらも心がウキウキします。

それにどの方も、素敵ないいお店を知っているので、
打ち合わせに行くのが楽しみで、私は、ほとんど遊びでした。
それでイラストを描いてお金をもらえて、自分のスキルにもなるのだからなかなか良いお仕事なのでした。


とはいえ、私は旅が大好きだったので机の前にじっとしてはいられず、
いつしか、はじめの目的「絵で食べる」という事を忘れ、イラストレーションで得た資金でスペインに旅立ったのでした。

スペインとの出会いはまた次回。